黒神 The Animation Episode23(終)『道』

 あまりの評判の悪さ、若しくはDVDセールスの悪さに資金提供者がキレてしまい「もう金は出さん!」となって現場は大慌て、なんとか前回最終回としての形を整えたものの22話で終了すると後継番組までの放送枠が余り過ぎるため急遽もう一話でっちあげる必要に迫られるが既に資金はなく、既存のソースをつぎはぎしてなんとか格好をつけた、といったところでしょうか。以上邪推でした。
 …小林常夫監督、敗戦処理ごくろうさまでした。あなたにとってこの作品に関ったことが何らかの形で今後の糧にならんことを遠い場所からお祈りしております。
 先週書いた通り蛇足も蛇足のお話で、むしろ先週分で終了しておいたらそれなりの余韻のあった物語として記憶に残ったと思うのですが、今週分でぶち壊しでございました。上記のような邪推をしてしまうのも22話を作れたスタッフがこれ(23話)しか作れない理由を考えてのことでございます。
 人気が出なかった理由を現場に求めるのはやむを得ない事でございましょうし、その意味では監督以下スタッフが至らなかったとすることは当然かもしれません。ただ現場以前の段階に責任がなかったのか? という根本の問題について一視聴者には永遠の謎ですからスタッフだけを責める気にはなれません。
 「日・米・韓同時放送」などと力が入っていた(誰の?)だけに落胆が大きかったのかもしれませんね。力が入っていたわりには放送時間は不遇でしたし、もう少し(製品に対して)丁寧なアプローチをするべきだったのではと思います。そうでないと制作スタッフにとっても製作スタッフにとっても視聴者にとっても、なにより作品にとって不幸でございますから。
「みんなで幸せになろうよ(@後藤 喜一)
 この精神が大切だと思うのですが、どうなんでしょうねぇ。
 作品。アニメーションの「絵」という部分では満足させていただきました。特にアクション場面はレイアウト・効果・作画とも、ついこの前まで放送されていたこの作品の制作会社の主力作品と比べても劣る部分はないように見えました。それだけ力は入っていたという証拠かもしれません。
 「動き」の部分は重さが感じられないものでございましたが、これは「なにを選択するのか」というスタッフの問題でしょうが私はアクロバチックかつ派手で好きでございました。絵作りに関ったスタッフ各位には良いものを観せていただいたことに感謝したいと思います。
 一方でお話には統一感、でしょうか、それが足りなかったのかなぁと思っております。前半の「ドッペルライナー編(便宜上の仮称)」と後半の「真神編(左に同じ)」で作風が変わってしまったように感じたのは私だけでしょうか。
 どちらかといえば「真神編」の方が好みではありましたし、最初からこの展開で「バトルアクション物」として成立させていたのなら…死んだ子の歳を数えるようなことは止めておきます(笑) ただ前半部分をもう少しテンポ良く処理して後半部分に時間を掛けていたのなら…もう止めましょうね(笑)
 あえて苦言めいたことを書きますと、最大の問題は「何を訴えたかったのか分からなかったこと」でしょうか。それが無いのなら別の切り口で仕上げるべきだったように感じました。…うん、私の感想もこの作品と同じで迷走して終わるようでございます。