夏のあらし! 第10話『異邦人』

 回を重ねる毎に不安になってまいります。今回のお話を観ていてその思いが一層強くなりました。何が「不安」かと言いますと、この作品をどう捉えればいいのか分からなくなる「不安」でございます。
 アバンと申しましょうか「やよゐと加奈子」コーナーから始まってあのOPに繋がる流れは「笑い」のそれでございますし、作中にも様々な「笑い」が散りばめられておりますから「軽いコメディアニメ」と観ても間違いはない…と考えてしまいますし、一方少年と少女のひと夏の甘酸っぱい青春物語と観たといたしましても間違いではなさそうです。
 いくつものメッセージが同時にひとつの作品に込められていたとしてもそれは問題はないのですが、問題なのは背景にある「戦争の影」の存在でございます。「あらし」や「カヤ」「やよゐ」と「加奈子」は既に死者であります。その原因となった「戦争」がこうして描かれている以上、そのことは作品にとって大きな意味を持っていると思えるのです。
 …思えるのですが、果たして「新房監督」が正面突破でそうした題材を選ぶのだろうか? もしかするとそうした間違った見方を誘発しようとしているのではないか? 裏の裏で本当に「戦争の悲劇」を描きたいのかも? などなど、混乱しております。
 素直に「はじめちゃんの男気に惚れた!」と書いていれば良いのかも知れませんが、監督も素直な方じゃないみたいですが、私ももうそういう歳じゃありませんし(笑) 残り3話ですか、どこに着地するのか楽しみではございます。