鋼の錬金術師 第12話『一は全、全は一』

  多分前シリーズのような原作に「會川節」のようなものが加わった癖の強い作品であれば色々楽しく(?)書けたのだと思うのですが、今シリーズのように原作通りに完成度の高いアニメ化されておりますと、アニメとしての「アク」がなく取っ掛かりがなくてねぇ…。
 本編。エドとアルの師匠・イズミとの再開と、出会いのお話。
 生きているものはひとつという、ひとつ間違えると形而上のお話になってやたら難しい展開になりそうなところを「食べる」という一番身近なことを「例え」とし、子供にも理解できるよう噛み砕いたお話にしてくれているところが素晴らしい。それがどう「錬金術」と結びついているのかは、今ひとつ理解できませんでしたが(笑)
 「この命は他者の命の上にあり、他者の命の糧となる」 それこそ神様の摂理というものでしょうし、だからこそ「感謝」を忘れてはいけません! という本来の作者のメッセージと違う受け止め方をしてしまいますが、この作品でこういう楽しみ方が初めてできて嬉しかったです。
 先週の「誕生」と今週の「循環」は多分ワンセットのメッセージで、だからこそ自然の摂理に反する行為をする錬金術師の罪深さが浮き彫りになるという「仕掛け」なのでしょう。師弟共にその禁忌を犯してしまったことへの後悔。イズミが優しく二人を抱きしめ、抱きしめられた兄弟が泣きながら謝るラストシーンが印象的なエピソードでございました。