夏のあらし! 第9話『HERO(ヒーローになる時、それは今)』

 今まで番組の冒頭と締めを担当していた「やよゐと加奈子」が遂に参加、物語は風雲急な展開に突入でございます。
 ですが、第一話にはこれまでの登場人物が全員「方舟」におりましたので、そこへ向かってのラストスパートなのかと軽く考えておりましたが、今回のエピソード中「はじめ」がタイムパラドクスから平行宇宙までの説明をしていたことを思い出して少し怪しくなってまいりました。
 確かに第一話では皆がおりましたが、あの未来が今の先にある未来と同じものとは限らないと監督は言いたかったのでしょうか? この先誰かの選択次第では別の未来が用意されているという暗示なのでしょうか? 急に不安になってきました(笑)
 さて、いつもそうですが相変わらず「絵」で表現することが達者でございます。今回は過去を変えることで違う未来を作っていることに罪悪感を持っている「あらし」の心情を、夏の淡い光の中に溶けてしまいそうな「背中」で表現するカットが最高でした。

 「あらし」が悩んでいる変えてしまった未来も、そのせいで消えてしまった今も実はどうでもいい事だと思うのです。どちらの世界にも「自分」がいたとしても、「今」そのことを考えているのは「この世界」にいる「自分」だけ。多くのパラレルワールドに「自分」がいても「意識」を共有できない以上考えるだけ無駄というものでございますから。
 といったことを「はじめ」に語らせてやりたい! とも思いましたが、本作では「変えた過去」と繋がった「今」にある幸せを描いて納得させておりました。うん、この方が綺麗にまとまって「くどく」ありません、さすがプロは違う(笑)