シャングリ・ラ 第五話『乱心嵐舞』

 未だ國子覚醒せず、お話は少しずつ進行しております。
 先週「國子には主人公としての立ち居振る舞いを期待しております」と書きましたが、自分でも性急だったと反省。視聴者といたしましては國子と共に世界の欺瞞や矛盾をひとつひとつ経験し考え、そして行動するというステップを踏んでこそ主人公としての國子に同調できるというものでしょう。その意味では今の國子の「戸惑い」は視聴者の「戸惑い」と重ね合っているのかもしれません。
 ただ、
 こうしたやり方は長編の作りとしては正しいと思うのですが、やはり各話にそれぞれ起承転結を用意して欲しいと願うのは欲張りなのでしょうか? 今回も様々な「謎」の提示はございましたが、この回だけの特徴というものはございませんでした。後で振り返った時、五話は「マジカル・ギーナ」のモデルが若き日の「北条凪子」らしい(若気の至りですね)という事が分かっただけのエピソードだった、ということにもなりかねません。
 ひとつひとつのエピソードを積み重ね、それが終盤になって生きてくる。一話だけ観ても楽しい、何か引かれる物がある。見逃した分は後でなんとかして視聴しよう、これからは見逃さないようにしよう。そうした構成が若干足りないように感じるのは私だけでしょうか?
 もっともこれは本作だけのことではございませんで、最近観ているアニメで私の感想文が短い作品は概ね該当しているわけですが(笑) 全体として観たら良い作品だと感じても、この製作スタイル(毎週一話放送)の利点、各話の「熱」を積み上げる、というものを考えますと「もったいない」という思いが強くなっている次第でございます。
 今のところ次第に明かされたり更なる謎が出てきたりと興味が尽きませんので、いつまでこれで「引っ張れるか」、スタッフの力量を見せていただきたいと思います。