獣の奏者エリン 第15話『ふたりの過去』

 少し前のNHKのアニメには「邪魔!」と感じる位テロップが流れておりましたが、評判が悪いのか最近は少し控えめでございます。でも今回のジョウンの職業「きょううどうしちょう」は表示していただきたかった。他の方のサイトを覗いて「教導師長」と書くことが分かりました(笑) 「教師」と「導師」の役割を併せ持つ偉い職業のようです。
 しかしそんな立派な先生も人間の醜さと無縁ではいられなかった、というのが彼の過去でした。この中で気になったことは「サマン」のお話で、ジョウンが自殺しようとしたサマンに対して全く同情を見せなかったこと。サマン自身の「虎の威を借る狐」という描写がありましたから、彼のような少年に同情の余地はないのですが、教師としてのジョウンの罪悪感があった方が・・・、話がくどくなりますね(笑)
 もしかするとこれは「自分にも他人にも厳しい」ジョウンという人物を表すエピソードだったのかもしれませんし、ひいてはこの世界すべての「厳しさ」を見せつけるためのエピソードだったのかもしれません。まあ、ソヨンの死のエピソードだって同じ事でしたから。
 エリンの健気な描写に隠されておりますが、描かれる内容は決して「甘い」ものばかりではなく、むしろそこに隠されている「厳しさ」の方に目が向いてしまいます。・・・大変好ましい(笑) ビタリス老人*1の「人生は旅じゃ!レミ、前へ進め!」に当時狂喜していた者といたしましては大変似た薫りがいたしまして、こういうお話は大好き(笑) ただ主人公が「女の子」ですからあまり酷い目に合わないことを願ってはいるのですが。
 8話から始まった穏やかな「ジョウン編」も次週で終りのようです。次のステップは「王獣の医術師エサル」の元で繰り広げられるのでしょうが今度は急流なのでしょうか。エリンの流転の旅はまだ続きます。

*1:出崎統版「家なき子」の影の主人公。CVは渋い声の近藤洋介さん。少年に生きることの意味を教える役回りのキャラ