ドルアーガの塔 the Sword of URUK 第12話(最終回)『つないだ手は・・・』

 全24話の物語を終えるに相応しい圧倒的作画力と勢いで上手く騙してくれました(笑) 観ている間はそのまま劇場でも鑑賞に堪えるであろう迫力のある画面に釘付けでしたし、各々のキャラのその後も描かれておりましたし、特に最期のクーパの馬鹿力が生かされたシーンが楽しかった(笑) 良い最終回でした。
 個人的にはギルガメスとカイ、ニーバとサキュバスが生き残ったのならアーメイも復活させて欲しかったところではございますが、「神ならぬ人の身」ではそれは叶わないということなのでしょう。そのへんだけは「きっちり」しているから本スタッフは侮れません(笑) お手軽に復活できるのなら人の死に意味がなくなってしまう、それは避けたいということだと思います。
 しかし冷静になってから考えますと色々「?」な部分が置き去りにされたままだったことに気がつきました。「ニーバが神を討つ目的とは」ですとか、「サキュバスとニーバはどこで知り合ったのか」ですとか、「そもそもこの世界における神の役割は」など、他にも細かいところで投げっ放しの設定などもあったように見えました(ただしそうした部分を私が見落としていた可能性の方が高いのですが。そのうちDVDレンタルして再確認したいと思います)。
 全体構造を考えますとこれは「全人類を巻き込んだ壮大な兄弟喧嘩」でございましたが、まあジルの冒険としてはこれが一番合っているように思います。そもそも塔に登ったのも壮大な志があった訳でもございませんし、今更「人類のために」なんていわれたら、それこそ嘘っぽく聞こえたでしょうし、ね。
 塔を登っているうちに色々なものを見、感じ、考えた。くじけそうな時もあったけど背中を押してくれる仲間がいた。走り続けているうちに目的地に到達したけれど、そこは塔に登る前に見た風景と同じ。でもきっと違う。また別の「塔」の前でジルはそう考えているのでしょう。
 ひとつの「塔」を登って「めでたしめでたし」で終わらせないで、「人生には幾つもの塔が立ちはだかっている」「でも恐れないで登ってね、そこには必ず何かがありますよ」というスタッフの温かいエールが聞こえてきそうなラストカットにおじさんは目頭を熱くしたのでした(笑)
 上記の通り設定や描かれなかった部分、いかしきれなかったかのように伏線など完璧な作品だったとは書けませんが、しかし素晴らしい作品だったとは自信を持って書ける作品でございました。ありがとう、ゴンゾ。私はあなたのことを忘れません(笑)