鉄のラインバレル ♯22『鬼を喰らうモノ』

 こうなる展開を予想できなかった訳ではありませんが、いざそうなってみた現段階では正直微妙でございました。一番大きな問題は「盛り上がりに欠ける」ところでございます。ここは理屈よりも感情に訴えかける、ある意味馬鹿になって熱い展開が欲しかったところだと思いました。
 これまでの加藤機関の行ってきた事を好意的に解釈しますと

  • 人類にこれから起こる恐怖を事前に知らしめるため
  • その闘いに必要な有能な人材の発掘のため
  • 最終兵器としてのラインバレルの限界性能を引き出すため

 といった風に考えられます。平和ボケした人類に、ある日突然未知の敵が攻めてきたとしたら、加藤の「想像せよ」という意味が明らかになった…って納得出来ないなぁ(笑) 色々と。悲壮感漂うようなお話に終始していた作品であれば、もしかすると納得出来たのかもしれませんが、中盤の流れを振り返りますと必ずしもそういう作品には見えませんでしたからねぇ…。
 ただ加藤にしてみれば、すぐ近くに「菅原マサキ」という存在がいたからこの手以外は使えなかった、ということなのでしょう。あからさまに地球人に手を貸せば自分が更迭され、それはマキナへの反撃の手を失うから「あえて憎まれ役を買いながら、戦力を整えていた」のだ、菅原がゲートの向こうへ戻った今だから全てを明かして協力を求めることができたのだ、と。
 筋として間違ってはいないと思います。ただ、この設定を生かすため「謎」としてこの回に至るまで隠したことで「加藤久嵩」というキャラの魅力を随分と損なったことは残念だと思いました。描写していたら陳腐で嘲笑の対象になっていたでしょうが、敵味方を問わず人が死ぬたびに血涙を流す場面があれば、心の叫びがあったのなら、「謎」としての楽しみはなかったでしょうが別の楽しみがあったのではなかったかと。
 まあ、本スタッフはそういう「頭の悪い」作品にはしたくなかったのでしょう。残り数話を使って「手持ちのカード」だけでどこまで盛り上げて下さるか、楽しみにしたいと思います。