獣の奏者エリン 第8話『蜂飼いのジョウン』

 母ソヨンによって闘蛇に乗せられアケ村から遠く離れた場所に流れ着いたエリンは蜂飼いのジョウンに助けられた、ジョウンは母親の死の痛みに耐えているエリンを優しく諭すのだった、というお話でした。
 母親が「庇護する者」であれば、ジョウンは「道を照らす者」でしょうか。まだ登場したばかりですので断定はできまねますが、彼の役割としてはエリンに「生きて行く厳しさと楽しさ」を指し示すことだと思います。そう考えますと今回は少し「語り過ぎ」かもしれません。もう少し時間を掛けてゆっくりとエリンの心を解きほぐすくらいが好ましかったかもしれません。
 こうしたキャラの描き方が最高だったのが一時期の「出崎統」さんで、「宗方仁」「ジョン・シルバー」「ビタリス老人」というキャラに、歳若い少年(少女も)に自分の生き様を見せつけ、学びとらせるという役割を完璧に演じさせました。
 ここで重要なのは「語った」のではなく「見せた」というところでございまして、文学作品であれば「語らせる」以外ありませんが、映像作品であれば「見せる」ことに心血を注いでいただきたいものでございます。先人に好例がございますから学ぶとことはいくら学ばれても損はないように思います。
 そうは書きましたがジョウンは鷹揚とした性格の人物のようですから、これから先のエリンにどのような道を「指し示して」くれるのか、原作を読んでいない身といたしましては興味深く見守らせていただきたいと存じます。