ドルアーガの塔 the Sword of URUK 第8話『二人はかつて』

 次のフロアに到達したジルたちだったが、そこにスペキュラが襲いかかってきた。ひとり囮となっていたジルはついにニーバと再会した、というお話でした。
 冒頭のファティナの告白は先週のエピソードの後始末でしょうか。「生きてるうちに伝えなければならないこと」をファティナはあの館で感じ取った、という事だと思います。その想いが「受け止められるかどうか」はまた別のお話で、結果を恐れて躊躇していたらなにも始まらない、若いうちはとりあえず前へ進め! という若い視聴者に対するスタッフの熱いメッセージでございましょう。
 さて、先週のジルに対して今回はニーバのターンでございました。何事にも前向きで、人を信じ、のんびりとした性格でありながら頑固な面を持つジルに対し、誰を信じることもなく一人で全てを抱え込んでしまう、何事に対しても裏を呼んでしまうニーバ。光と闇ですね、この対比がお見事です。
 もちろんそうなってしまったのには理由があって、という説明がなされておりまして、「育った環境が違うから」で納得してしまいそうになりましたが、仮にジルとニーバの立場が違ったらと考えますと、その考えが間違いである事に気がつきます。ジルならそれでも人を信じただろう、と。
 結局ニーバは自分で袋小路にはまり込んでしまい、抜け出すために足掻いているだけに見えてしまいます。そこが哀れで悲しい。青年の一時期、潔癖すぎて周り全てが汚く見えてしまうということは良くある事で、そんな時こそ立ち止まる勇気も必要でございます。描かれてはおりませんでしたが、常春の館でニーバが誰とも会わなかったことは簡単に推測できます。そこが決定的なジルとの違いなのですが、本人には自覚もないのでしょう。
 「生き方の違い」で片付けてしまうのは簡単なのですが、今のニーバはただ意地を張っているだけにしか見えません。それも「若い生き方」だと言えますが、辛すぎる生き方の先には往々にして何も無いものでございます。それはジルのパーティーは賑やかになって行き、ニーバのパーティーは誰もいなくなってしまったことで表されているのだと思います。そこまでしてニーバが手に入れたがっているものが何なのかがこれからの焦点かもしれません。
 それにしましてもこの作品の印象は「楽しい」なのですが、今回は「アクラ」が呆気なく退場したようにその描写は容赦ありません。はっきり書けば「殺伐」としているのですが、そう感じさせないところがスタッフの力量なのかもしれません。ジル以外は全員退場者候補(笑) のような気がいたします。
 塔の中も風雲急を告げておりますが、塔の外もなにやら騒がしくなってまいりました。本当に残り話数で終わるのか心配です、…無理に終わらせないでもう一期あってもよろしいように思いますが、肝心のゴンゾがっ!(笑)