鉄のラインバレル ♯18『メメント・モリ』

 「生きる事だけを目的に生きている者に価値はない」という永遠の真理が語られたお話。…理想なんですけどね。生まれてきた以上なにかしら「成すべき事」があるのではないかと思った時期が私にもございました(笑) ここから導かれる事は加藤久嵩のいた世界は「そうであった為に滅んだ」ということでしょうか? 残り8回ですから焦らずとも答えは目前、ゆっくり待つことにいたします。
 で、エピソードといたしましては今回も「タメ」でございまして、加藤と浩一の決定的な資質の差を描き、JUDA本部の窮地や矢島と浩一の対決を匂わせつつ次回へ回しました。この辺は物語の核心ですから端折る訳にもいきませんから順当といえば順当。もう少しJUDAに残ったメンバーのピンチ描写が大げさであればよろしかったとは思いますが、ここは作り手の領分でございますし、次回以降を観てみませんと迂闊なことを書いて後悔することになりそうなので自重いたします。
 本作で最大の不満点は悪役(便宜上こう書きますが)である加藤久嵩の描写が不十分なことでございます。今回いきなり絵美のことを「妹」と言っておりましたが、この伏線をもう少し早い段階で使って頂けたのなら作品の厚みが増し、印象も違ったものになったような気がいたします。この設定自体は別に目新しいものではございませんから(私ぐらいの年齢ですと「闘将ダイモス」が記憶にあります)隠すほどのネタだとも思えません。
 どうも人物の心理状態を丁寧に描くことが流行のようですが、やはり曲がりなりにも「ロボットアニメ」の冠を戴いているのですからあざとい位「熱い」展開が1話に一回くらい欲しくなってしまいます。人物配置や敵味方が交錯する内容からいたしますと、本作はその要素を溜め込んだままここまできたように思えてなりません。
 ここから先に全てを突き抜けるような熱い展開が待っている事を期待しつつ次回へ。