蟲師 第5話『旅をする沼』

 旅をする沼「生き沼」と共に生きる娘「いお」を救おうとするギンコだったが…。
 先週に引き続き「人の身」の無力さを描いたお話しかと思って観ておりましたら、今回は「蟲」と「人」のかかわりが、偶然もあって幸せな結末だったこともありまして最後は救いのあるお話で「ほっ」といたしました。いえ、救われなくとも構わないのですがね。人身御供の「いお」には生きていたとしても帰る場所はもうないわけですし、諦めて、いえ、諦めたふりをして沼と同化する道を選びます。ギンコはその娘の心の内を見抜いて救いたいと思うわけですが、その辺りの演出と映像(赤い晴れ着が効果的に使われておりました)が実に素晴らしいものでございました。
 「いお」が透明な体から次第に「人」に戻り「怖かったけど、悲しかった」と呟くシーンは、それまでで彼女の心情が(分量としては少ない描写でしたが)十分描かれておりましたから胸に熱いものがこみ上げてきました(こういう時、自分が歳を取ったと確認できます)。
 とても地味な作品なのですが、正当に評価を受けていたようで、関係者でもないのに何故かそれがとても嬉しい作品でございます(笑)