銀河漂流バイファム全46話(終)

 一話毎の感想は書きませんでしたが、全話終了につきまとめて感想。思い出しますと、この作品は途中で放送時間の変更というスタッフも視聴者もあまり幸せな作品ではございませんでした。私も当時23話までは視聴しておりましたが、その後の23本は観る事ができず悔しい思いをしたものでした。時を超え最後まで観ることができ感無量でございました。
 もう25年も前の作品ですから今の若いアニメファンの方は作画のレベルですとか、描き込みがどうのといったことで本作を評価することは難しいかもしれません。ですが芦田豊雄さんの頑張りには当時目を見張ったことだけは記しておきたいと思います。あのデザインのキャラたちが生き生きと見えたのは当時のアニメーターの努力の賜物でございます。
 本作はロボットアニメを装ってはおりますが、本質は子供たちの厳しい人間ドラマでございます。初回から次々と消えてゆく大人たち、敵の描写が全く無いまま宇宙に逃げ出し、そこでも大人たちは子供たちを守って死んで行き気がつけば子供たちだけが取り残されて、「さあ、どうしよう」というのが5話くらいまでの流れなのですが、その緊迫感たるや今観ても一級品の流れでございました。
 もちろんその後の彼らの運命がメインになるわけですが、それ以上に子供たち一人一人の描写が見事なのです。「血が通った」と言うべきでしょうか、「このキャラならこう言う」「このキャラならここはこう動く」という風に13人も子供たちが出演しているというのに誰一人雑に描かれたキャラがおりませんでした。キャラを描くというのはこうした事を指すのだとひとりで納得しておりました(笑)
 辛く苦しく、それでいて楽しい長い旅の最後に「紙ヒコーキ」が宇宙空間に舞う演出は泣きました! ええ、泣きましたともさ!(笑)
 もしかすると当初の計画通りならこの後の彼らも描かれていたのかもしれませんが、これで十分でございます。二組に分かれても子供たちの「心の在り処」はひとつであることは、視聴していて伝わりましたから。これ以上は「野暮」というものでございます。
 この後半部を25年前に観ておきたかった悔しい気持ちと、25年後でも観ることができて幸せだと感じながら、今もあの宇宙空間を飛び続けている紙ヒコーキに思いを馳せながら、当時のスタッフに感謝したいと思います。