キャシャーンSins 第9話『滅びの谷に咲く花』

 かつてルナに仕えていた「ニコ」と瀕死(?)の「ボルトン」のお話。
 滅びの影響で頭脳回路に影響を受けて花を育て無邪気に笑うニコが哀しい。そして悪態ばかり付いていたボルトンがニコを守るために戦った優しさが辛い。・・・こんなお話ばかりでございます。多分最後まで胸のすくような展開は望めないと思うのですが、こうした作品を今作っているスタッフの心意気には感謝しております。
 キャシャーンがルナを殺した時、傍にいたニコはその場面をみていたのでしょうか? ルナが死んだ事をニコは理解していたのでしょうか? その事の回答は提示されておりませんでしたし、このお話の本筋には直接関係はなかったようですが、ルナに見立てた「人形」に花を捧げる事に何物にも代え難い幸せを感じていたことだけは画面から伝わってまいりました。「忘却」とは悪い事ばかりではない、ということなのかもしれません。
 本作においてロボットは人間に置き換えることの出来る存在なのですが、最近のえエピソードを観ておりますとそのまま人間で描いた方が感情移入がスムーズではないかと疑問も湧いてまいります。もっともそれですと「キャシャーン」の意味がなくなってしまうでしょうし、さらに「滅び」の設定も意味がなくなるわけですね。難しい・・・。
 ルナが生きているかもしれないことをボルトンに知らされて、ようやくキャシャーンに旅の目的ができました。その旅は自分のためだけではなく、他者の思いも背負った重苦しい旅になりそうでございます。