地獄少女三鼎 第九話『はぐれ稲荷』

 わたなべ監督が自重したのかアイデアが浮かばなかったのか、お約束の「お仕置きシーン」が今回はございませんでした、残念。もっとも今回の犠牲者は、物語に直接関与していなかったので「お仕置き」に意味はないので当然かもしれません。それにしましても最近は「キモイ」だけでも罪なのね、生き難い世の中になってしまったものでございます(´;ω;`)
 子供の頃からひとりで本を読んだり絵を描いたりすることが好きだった人間でしたが、それでも子供付き合いというものはそれなりにございましたので「楓」の気持ちを理解する事は難しいかもしれません。自分からひとりになる事と、ひとりでしかいられない事は別物ですからね。
 ただ手段として「呪い」にまでエスカレートするしかなかった楓の心情は、観ていてとても辛かった、悲しかった。そしてこのどのみち楓は孤独になるしかなかったという「オチ」を用意したスタッフの恐ろしさに震えました。地獄行きまで賭けた結果がこれですよ、なんという不条理!
 「お菊人形」のような楓が次第に壊れて行く描写は真に迫っておりまして、これでは「あい」ちゃんの出る幕がなかったのも納得いたしました。でもね、本当に地獄に行かなければならない人間が、なんのお咎めもないというこの作品のコンセプトにはなかなか慣れることができません。視聴者の思い込みを崩して、不安定な気持ちにさせるという事が狙いでしたら成功しているのですが。