ブレンパワード 第22話『乾坤一擲』第23話『スイート・メモリーズ』

 アメリカ軍の撃った核ミサイルを迎撃していた勇とクインシーは疲れ果てて墜落、勇は姉を連れてノヴィス・ノアへ帰還した。クルーたちは怪しむが勇は姉がノヴィスで変わると思いひとりはしゃぐ。クインシーも艦内の子供たちとの「穏やかな」触れ合に自分の「心」の変化に気がつく。
 そんな時クマゾーが艦内にいる「化け物」を見つけるが正体を見破るまでには至らない。クインシーと子供たち、クルーの間に垣根がなくなりそうになった時、再び化け物が姿を現す。それは乗り手のクインシーを求めた彼女のグランチャーが、指を触手のように変化させたものだった。
 グランチャーに奪われそうになったクインシーを勇たちが阻止、乗り手を失ったグランチャーは単身オルファンに戻り、ヒギンズはそれを追ってオルファンへ飛び立った。(第22話「だいたいあってる」あらすじ)

 クインシーのグランチャーを追ってヒギンズはオルファンへたどり着く。その頃オルファン内にいた比瑪は直子からガバナーの正体がゲイブリッジ司令だと知らされ激怒する。
 その時ヒメ・ブレンはオルファンに導かれるように内部へ進み、ヒギンズも同様にオルファンに取り込まれる。比瑪がたどり着いたところはオルファンの「子宮」で、そこでオルファンは比瑪に生前の母親を見せてくれ、比瑪はそのことの礼を言う。
 ヒギンズはジョナサンたちと戦闘になるが、危ないところをオルファンに守られて比瑪共々外部に排出された。(第23話「だいたいあってる」あらすじ)

 いつもの富野監督作品でしたら、この辺のエピソードから救いのない展開が連続しそうなものと身構えておりましたら、「希望の光」が次々と見えてまいりまして拍子抜けしております。ですがこういう「裏切られ方」は大変好ましいものでして、楽しく視聴できました。
 22話では「依衣子」とノヴィス・ノアに収容された子供たちの交流が描かれているのですが、ここが素直に演出されておりまして「子供たち=未来」という監督の意図がすんなりと受け入れられました。作中潜入中のケイディとクインシーの会話に、(オルファンの欲している)「ビー・プレート」が子供たちそのものという部分がございまして、それこそがオルファン浮上に伴った人類絶滅を回避できる答えなのだということなのでしょう。
 23話ではオルファンが内部にいる人間に「思い出」を見せる場面がございましたが、運命の受け止め方が違う人では見る内容も違うのだという演出にも感心させられました。本作における富野監督は徹頭徹尾「未来志向」なのだと再確認させられたお話でございました。この時期の富野監督にどのような心境の変化があったのか、とても気になったエピソードでございました。