鉄のラインバレル ♯06『明るい夜』

 賛否はあろうかと存じますが、浩一を一気に変化させるためには有効な一手であろうエピソードでございます。多分この回をはさまないで進行させるといたしますと、いつまでも「矢島の死」を浩一に引きずらせてしまいかねず、それはそれで観たい気もいたしますが、色んな物との兼ね合い(シリーズ全体の流れですとか、残り話数など)からいえばここで仕切り直ししたことは評価されても良いように思います。
 ただこれは危険な賭けにも見えまして、ここまでのシリーズの流れと全く別物の「ラインバレル」が始まったりしますと今までの支持者から反発されかねません。が、こちらのそんな心配は手練のベテラン揃いであるスタッフの前には杞憂でしょうね。
 「お笑い」の回としては楽しめましたが、さすがにこのキャラクターデザインで動きのある「笑い」は無理だったようです。ですから「状況」の笑いだけになっておりました。石神社長の変態っぷりや絵美の常識外れな行動も楽しかったのですが、「笑いは落差から生まれる」という点では森次玲二の「ツッコミ」練習が一番ございました。多分全エピソードでただ一度の描写だと思うのですが。
 こんな「御馬鹿」なエピソードではございましたが、「緊張と緩和のメリハリ」という石神社長の言葉で丸く収め、さらに「今更じゃない、今からでいい」というメッセージで締めくくる力技は流石だと思います。