テレパシー少女 蘭 第19話『カフェ・ド・オバケ屋敷』

 学園祭に絡めて翠の悲しみと、その翠の凍りついた心が蘭や留衣はもとより同級生たちの優しさと触れ合いによってゆっくりと融けてゆく様を丁寧に描いた、多分作中ベストなエピソードでございました。こういったお話を拝見いたしますと、この番組に「謎」はいらないと強く思ってしまいます。
 最後のシーンで母親からエアメールを手にとって、中身を見ないでもそこから伝わってくる「感情」を能力で読み取り涙するシーンは、タイミングの取り方が絶妙でございました。うん、そういう能力の使い方は最高ですと、感心した場面でした。
 蘭も翠も留衣も中学生ですから探偵のようなまねをして事件を解決させずとも、中学生だからこそ感じる喜怒哀楽を描くだけでも十分面白い素材だと思いますし、それが出来ないスタッフとも思えないのですが、この辺が原作付きアニメの辛いところかもしれません。
 原作の「入れ物」だけを借りてアニメを作る方向も、そろそろ考えた方が良い時期にきているのではないかと夢想しております。