鉄腕バーディーDECODE 第13話『STAND BY ME』(終)

 つとむと小夜香とリュンカの「恋」は、これ以上考えられない終わり方で幕を降ろしました。小夜香にとっては記憶が残って恋が成就したとしても、大勢の人間を(自分の意思ではなかったとしても)殺してしまった事実は変わらないわけで、つとむとの恋とはその記憶と付き合うことに他なりません。彼女の神経がそれに耐えられるとも思えませんし、小夜香にはこの終わり方以上の幸いはなかったと思います。
 人間を殺し文明を破壊する事以外できないリュンカにとっても、最後の瞬間「つとむ」と一体になれたのですから幸せな終わり方だったことでしょう。彼女(あえてこう書きますが)自体には悪意があるとも思えませんでしたし、つとむと心を交わせたのですから満更悪い結末でもなかったのでは? と思いました。
 貧乏くじを引いたのはつとむくんで、小夜香を助けリュンカの魂も(そんなものがあったらの話なのですが)救い、ついでに人類まで救ったというのに、誰からもご褒美が貰えませんでした(笑) もっとも「恋」とは無償の行為ですから、この結末も仕方のないことなのかもしれません。誰かに褒めてもらいたくて走り回った訳ではありませんからね。
 こうして見ますとこれは「鉄腕バーディー」ではなく「小さな恋の物語」に他なりませんが、13回という短いシリーズに収める方法として、ポイントを絞ったこの作り方は正解だと思います。本作においてバーディーは内面の描写が少なく物足りなく感じたりもいたしましたが、放送中から次回シリーズが決定していたようですし、紹介編としての役割は果たしておりました。
 地球規模の危機を描きながらお話はコンパクトにまとめられていたり、全編を通してひとつのエピソードだけを追いかけるしか時間的余裕がないように見えていながら、バーディーが母星に帰って別の事件を解決するお話をさりげなく挿入*1してあったりと、全体像を把握して「余分も不足もない」作りのプロのお仕事を見せていただきました。
 もちろん不満がない訳ではございませんで、些細な事は別としまして一番は「シャマラン」が悪役としては物足りなかったことでしょうか。彼自身は真の悪役ではなくただの弱い人間で、その弱い心を強者によって操られていただけだったと見ることも可能ではございましたが、その弱さゆえの「狂気」の描写がもう少し描かれていたなら「シャマラン」の悪役としての魅力が増したでしょうし、物語の緊張度もより高まったのではないかと考えますと、そこだけは残念でございました。
 とはいえ、13回楽しく視聴させていただいたスタッフ各位には感謝しつつ、今は次シリーズも観ることが出来ますようにと祈ることにいたします。

*1:ネーチュラーを出演させるためには必要なエピソードではありました