ブレンパワード 第8話『寄港地にて』第9話『ジョナサンの刃』

 ノヴィス・ノアは日本政府及び国連首脳部への事情説明と物資補給のために港に停泊。護衛の潜水艦キメリエスも同行、艦長のレイトとヒギンズは人目も憚らずいちゃいちゃしてアノーア・マコーミック艦長から怒られる(笑)
 勇は首脳陣の前でオルファンの目的とその先にある脅威を説明するが、理解を得られずイジケル。カナンは生まれたばかりのブレンにかかりっきりで自分を相手にしてくれなくて更にいじける(大笑)
 そんな時ケイディがBプレートを探りにノヴィス・ノアに潜入、同時にグランチャーも襲撃してくるが勇・比瑪・カナン・ヒギンズのブレンが協力してこれを撃退。増えていくブレンに比瑪はごきげんである(笑)(第8話「だいたいあってる」あらすじ)

 寄航中のノヴィス・ノアに国連スポンサーのモハマドがやってきてノヴィス・ノアの譲渡を申し入れる。当然アノーアは断るが、そのときモハマドの同行者の一人に変装していたジョナサンが正体を現し艦の乗っ取りを試みる。
 ジョナサンはアノーアの実の息子だったことが判明。母子喧嘩始まる。よそでやって欲しいと巻き込まれた人々はうんざり。ジョナサンはクマゾー(推定5歳)に「ママのおっぱいが欲しかったんだよね?」と喝破される。ジョナサン立つ瀬なしである。ユキオトアカの活躍で形勢逆転。逃げるジョナサンはクマゾーをオルファンにスカウトするがクマゾーはこれを拒否、とりあえずの危機は去った。(第9話「だいたいあってる」あらすじ)

 今回の2話はどちらも子供の「苛立ち」が物語の中心にございました。勇もジョナサンもその苛立ちの根っこに「親に愛されていない」という想いがございまして、それ故大人を信じられないという澱(おり)が溜まってしまっています。勇の場合は比瑪という「大勢のお父さんお母さん」に育てられた子供がおりますので、そのうちなんとかなりそうな気もいたしますが、ジョナサンは・・・救われないかもしれません。
 こうした「親子の相克」「世代間の断絶」というのは富野監督の作品でよく見られる問題提起ですが、本作の場合にあまり深刻に感じられないのは比瑪の存在が大きいのかもしれません。彼女は子供でありながら大人というものを理解していますし、また親を亡くしているからこそその存在の大きさも理解している存在として描かれており、いつもの富野作品に転落(笑) しないためのストッパーと感じられます。
 色々考えさせられるエピソードではございましたが、まあそれでも9話はクマゾーのターンでした。いつも泣いてばかりの幼児が女性と老人を守るために銃口の前に立ちはだかったり、泣き言ばかりをいう大人を諭したりと大活躍。最後まで泣かなかったクマゾーは、少なくともこのエピソード中誰よりも立派な「男」として描かれておりました。