狂乱家族日記 20話『ビタミンCの森』

 凶華さまがチラリともご出演なさらなかったエピソードでございました。私にとりましては凶華さまは「マクロスF」を観た後の精神安定剤ですので、そのお姿を拝謁できませんと次週まで禁断症状がっ!・・・すっかり毒されてしまいました(笑)
 それはさておき今回は緊張感溢れるお話でしたが、これが20回お話を積み重ねた効果でしょうか「狂乱家族」が出演していなくとも見事に「狂乱家族日記」しておりました。ただモンタージュ法を多用したため多少難解になってしまったことが少し残念でした。一時間番組でしたらこれくらいの使用頻度は問題ないレベルだと思うのですが、正味20分の番組ですから「ご利用は計画的に」と呟(つぶや)いておきます。

 どんなに自分を大きく見せても、どんなに恐ろしく振舞ってみても、あたしは平気、何も怖くない。だってあなたは・・・あなたは魔獣なんかじゃなかったんだから。あなたは魔獣なんかじゃなかった。どこかの刑務所から逃げてきた哀れな脱獄囚。それでもあたしにとっては友達だった。あたしの願いを聞き助けてくれるかもしれない魔獣だった。それなのにどうしてあなたはそんなに弱いの。友達なのにどうしてあたしを裏切ったの、姉を殺した罪を一生背負っていく。恩知らずの弱虫のビタミンC。あなたが姉様を殺してくれたら、あたしの願いを聞いて殺してくれたら、あたし、あたしは、永遠に闇の中だった。本当の鬼になって、永遠に闇の中を彷徨っていた・・・。

 凶華のエピソードがほとんど描かれていないのに対して千花のエピソードは2回目でしたっけ? 優遇されております。それは彼女だけが「閻禍」の遺伝子を持っていないということと関係があるのかもしれません。他の登場人物(?)を深く掘り下げた場合、この「閻禍」との関わりを無視するわけにもいきませんし、それは本作の核心部ですから手短なエピソードで仕上げる事は無理、と申しますか「もったいない」ですしね。
 それでいて、千花以外の乱崎家の面々も千花と同様の心の傷を抱えているだろうことは、これまでのエピソードで暗示されておりますから「千花」を使って他の家族を語ることができるともとれます。

 あなたは怖くて出てこられなかっただけかもしれない。本当に逃げたのかもしれない。でもあなたは姉様を殺さなかった。だからあたしはここにいる。太陽の当たる、こんな暖かい場所に。

 魔獣のビタミンCは過去の自分の醜い心そのもので、だからこそ千花自信がその手で葬らなければならなかった。感謝をしつつ・・・。上記の台詞は見事な締めでございました。こんなお話でありながら救いのある「オチ」が後味の良さを演出しておりました。脚本は「花田十輝」さん。初期の頃は今ひとつ乗れなかった作品でしたが、己の不明を恥じ入るばかりでございます。