RD 潜脳調査室 第22話『静かなる死』

 表題が誰の「死」を指しているのか、「脳核」を抜き取られ意識だけを過去の記憶のメタルに移した久島の事なのか、その久島に見つめられていた波留のことなのか、はたまた久島の脳核を守るために自分のメモリーを消去されてしまったホロンのことなのか残念ながらよく分かりませんでした。
 誰かひとりを指しているようにも見えましたし、その全てを指していたようにも受け取れます。もしかすると気象分子プラントの発動によって影響を受けるであろう人類全てを指しているのかもしれません。早とちりはいけませんので、結論は次回に持ち越しでございますね。
 「久島の不在を利用して株価の操作」というのが今回の事件の動機のようでしたが、ジェニー・円が暗躍していましたのでそれは表向きの理由なのでしょう。組織の中で組織の利益にならない、むしろ不利益ともいえる提案をする久島を排除するためになんらかの「力」が働いたと見るのが正しいでしょう。結果的に久島の脳核は取り戻してもリンク切れで「意識はこの義体には戻らない」と宣告されていましたし、ホロンのメモリーも3ヶ月前のバックアップしか残っていないと言われてしまう始末でございます。
 時間の経過が不明なのですが、ホロンとソウタが出会ってから3ヶ月以上は経っていると思いますのでソウタを認識はできるはずですが、しかし想いが募った時間は丸々無くなってはいるのですね。永遠に戻らない時間ですか、ソウタが持つ「インフィニティ(永遠)」のペアリングが辛いなぁ・・・。
 この作品もここに来まして急に緊迫感が増してなにか違う作品のようにも感じましたが、この展開が本来の姿なのかもしれません。久島の意識はどこに戻るのか、ホロンとソウタの恋の行方はどうなるのか、そして気象分子プラントの影響はどのようなものかなど盛り沢山でラストスパートでございます。
 ところで、今回波留が窮地に落ちた時「久島を放っておけない」と「アユム」と「ユージン」が助けに来てくれましたが、この市井のダイバーと久島や波留の繋がりを描いたエピソードだけが無かった事に気が付きました。結構ユルユルの展開でしたから、このエピソードをどこかで描いていてくれたのなら、今回の救出劇の場面ももう少し盛り上がったのにとそこだけが残念でございました。