テレパシー少女 蘭 第8話『蘭のなかよし大作戦』

 どんな作品でもそうでしょうが、年齢によって受け止め方は違うものだと思います。今回のお話も子供たちにすれば何という事もないのかもしれませんが、年寄りにしてみますと少々「きつう」ございました。別に奇麗事を書くわけではないのですが、創作物であっても子供たちの小さな心が傷ついているのを見るのは堪えます。
 今回は「月」と「山下」の小さな恋のお話だったのですが、いじめにあった二人の傷ついた心が引かれ(「惹かれ」かもしれませんが)あったのは必然だったかもしれません。「月」が遠くの街に引越して行く前に「山下」に想いを打ち明けようとするのですが、この年頃の男の子の大半がそうであるように「山下」も女の子に対して素直になれない。そこで「おせっかい」な蘭と翠が一肌脱ぐ、というのが本編の筋でした。
 本来であればその男の子と女の子の揺れ動く想いや、蘭と翠の活躍に注目すべきなのでしょうが、おじさんは「月」と「山下」がいじめられている描写のところに引っかかってしまいました。まあ、陰湿ないじめの描写ではありませんでしたし、それこそ子供の頃はあの程度の「ひやかし」くらいよくある事といえばそれまでなのですが、最近は妙にいじめられる方の心に感情移入してしまう傾向がございまして困惑いたしております。
 「創作物に馬鹿じゃねーの」と鼻で笑われる事は自分でも分かっているのですが、この気持ちはある一定の年齢以上になると分かってもらえるのではないかと思っております。子供が全員優しいだなどとファンタジーなことは考えておりませんが、弱いものが餌食になるという描写本当に辛い。お話の流れで必要だと分かっていても辛い。困ったものです(笑)
 で、本編の感想なのですが、今回のように子供の身の回りで起こる小さな出来事を描いた方がこの作品には合っているのではという思いが強くなりました。超能力を扱っているからといって中途半端に「風呂敷」を広げなかった今回は、お話の結末も含めて後味が宜しかったと思いました。