巌窟王 第七幕『秘蜜の花園』

 伯爵の復讐の標的が出揃った回でした。このヴィルフォールが一番悪そうでございました。その一方で、アルベールは自分の始末も満足につけられないというのにマクシミリアンとヴァランティーヌの恋の仲立ちをしようなんて百年早いことをしておりました。
 アルベールの行動は愚直なマクシミリアンへの純粋な友情故ですし、ヴァランティーヌの境遇を慮ってなのでしょう。こうしてアルベールの「無垢」な魂を追うことによって、伯爵の暗い情念との対比を浮き上がらせる意図なのでしょう。視聴している側としてはその制作者の思惑にはまり込んでいる状態でございます。
 ヴィルフォールの後妻エロイーズは早々に伯爵の罠に落ちてしまいました。観ておりますと「落ちるべくして落ちた」といったところなのですが、なにか哀れに見えてしまいました。もっとも復讐もので幸せそうな人物などいないのですが。
 まだ伯爵が「はめられた」説明も、今の地位を築いた説明も描かれてはおりません。焦らしてくれます(笑)