狂乱家族日記『雹霞の初恋』

 優歌の過去を描いたお話の時には散漫な印象を受けたものでしたが、今回はそうでもありませんでした。これは視聴している私がこの作品のペースに慣れた事もあるのでしょうが、それ以上にスタッフがこなれた事が大きいように思えました。あの時は作品自体が始まって間もないこともあって、主要キャラクターが総出演しておりましたが、今回も結果的には全員出演していたのですが、ストーリーの展開に邪魔にならない範囲の出演でしたのですっきりとまとまった印象のお話となっておりました。
 完全無欠の殺戮マシーンという出自の雹霞ですからその過去は悲惨そのものでしたし、ストーリーとしては強引な印象は否めませんでしたが後味が悪くなかったのは雹霞というキャラに「表情」がなかったからかもしれません。悩んだり苦しんだりしている描写もございましたが、こういう時表情が無いというのは視聴している側からすると「突き放して」観ていることができ、過剰な反応を抑えられるという利点がございます。当初からこれを狙って雹霞のデザインをあのようにしていたとすれば、「創作者(クリエーター)」と呼ばれる方々の凄さというのは素人の考えが及ぶところではないと、改めて痛感いたしました。