COWBOY BEBOP『ワイルド・ホーセス』『道化師の鎮魂歌』

『ワイルド・・・』は格好良いオヤジのお話。定番といえば定番なのですが、この「ドゥーハン」というキャラは説教臭い事も含めて余計なお喋りをいたしません。ゲストキャラですので色々と語らせたいところだとは思うのですが、そうすると途端に作品のバランスを崩してしまいかねない訳でございまして、では何も語らなくても良いのかと言えばそうでもありません。結局はバランスの問題だと思うのですが、たかだか20分に満たない時間で全てを描くことは無理があるわけです。
作中で描かれた事だけではドゥーハンの過去総てを知る事は出来ませんが、推測する材料は最低限提示されていたように思います。この「最低限」という所がこの作品の味(余白の美とでも申しましょうか)だと思っております。
今回はソードフィッシュ号から取り外した部品を、大気圏突入角度を調べるゲージを書くところで利用しておりましたが、こういう細かい描写も相変わらずでございました。
『道化師・・・』は『悪魔を憐れむ歌』以来の後味の悪い作品。「後味が悪い」というのは悪い意味ではなくて「やるせない」と言い換えた方がいいかもしれません。殺し屋・東風は不気味な存在として描かれていましたが、彼が何故そういう存在になったかを慮ると単純に悪役として見る事ができませんでした。そしてその最後は「哀れ」としか言い様もなく、どこにも救いはありません。この突き離したような終わり方も当作品の魅力だと思います。
この回はアクションも素晴らしく、作画の頑張りが脚本に応えておりました。