「1152」


今日は風は強かったのですが青空が見える良い天気でした。少し前にNHK−BSで「風人物語」というアニメが放送されていたのですが、それを観て以来「空」の写真を撮ることが多くなりました。・・・この影響を受け易い性格はなんとかしなければとは思っております。
表題の「1152」ですが、その昔「海のトリトン」というTVアニメーションがありました。視聴率は悪かったらしいのですが、数少なかった(であろう)観た子供たちには多大な影響を与えた作品でございました。ある年代のアニメファンにとっては「永遠の一番」と言っても過言ではないと思いますし、当然私にとってもベストな作品であります。
だからといっても若い方に勧める事はほとんどありません。一番の理由は「作画」にありまして、最近の作品だけを観ていらっしゃるような方ですととてもではありませんが観られたものではないと思うからです。全部が全部酷いわけではありません。作画監督の羽根章悦さんが修正を入れてあるところは今でも十分鑑賞に耐えられるのですが、いかんせん一人でやられる仕事の量は高が知れておりまして、割合で言うと全体の1割といったところでしょうか。他の5割は時代相応、残り4割は「勘弁してください」といった感じでしょうか。あくまで主観でございますが。
でもこの作品にはそうした問題を物ともしない魅力が多くありまして、その事を丁寧に書くべきなのでしょうが今は時間が足りませんので省略いたしますが、ただひとつだけ「音楽」も素晴らしかったと書いておきます。作曲は故「鈴木宏昌」さん。コルゲンさんの愛称で親しまれたジャズ畑の方ですが、個人的にはトリトンの音楽を担当するために生まれてきたのではないかと思うほど作品とマッチした作品を書いて下さった方でございます。
今のように主題歌だけでなくBGMやイメージソングなど軒並みCD化される時代ではありませんでしたから、この作品のレコード(!)も長い間ヒデ夕木さんの歌う主題歌と、かぐや姫と須藤リカの歌う主題歌(何故主題歌が2つあるか疑問の方は調べて下さい)しかありませんでした。アニメなんてその程度の扱いしか受けていなかったのです。ところが所謂「ヤマトブーム」のおかげで状況は一変しました。商売人は「売れる!」と思えばなんでも売って下さいます(笑)
その時点で放送されていたものから過去の作品まで、結構な数のものがアイテム化されました。今ならDVDなのでしょうが当時はレコードとムック本が中心でした。「トリトン」もレコード化されたのですが中身は「お話」が中心(今のドラマCDみたいなものです。音源はTVから持ってきた物で新録部分はありません)で、これではあの「音楽」を好きだった者には堪えられませんでした。多分そうした想いを持った中の有志が直接鈴木さんと交渉したのでしょう、コルゲンさんの「自費出版」という形で念願の「音楽版」を手に入れることができるようになりました。
このアルバムは真っ白い表面に、浮き上がった文字で「トリトン」と書かれただけのシンプルなジャケットのレコードでしたが、針を落として聞いた時の感激は今でも忘れることができません。時が過ぎ、自宅からレコードプレーヤーが姿を消した時このレコードも押入れの奥にしまったのですが、最近USBプレーヤーを入手いたしましてPCに取り込み、現在これを書きながら再生している次第でございます。便利な時代になったものです。
このレコードには1枚1枚に「シリアル・ナンバー」が打たれておりまして、私のナンバーは「1152」でございます。確か5000枚限定だったように記憶しております(いつものようですが「曖昧」な記憶で書いております)が、今他のレコードたちはどうしているのだろうと、少々感傷的になってしまいました。