電脳コイル『黒い訪問者』

関係者の噂によると、イマーゴと電脳医療には深い関わりがあるそうです。
なにか不思議な事に出会った時、大人と子供では違った反応になってしまうのは当然と言えば当然なのですが、何でも理屈で考えて答えを求めてしまう大人は実は可哀相なのではないかと思う時があります。「恐怖もの」を鑑賞するときは、作者に敬意を払ってその物語にドップリと浸る方が楽しめると頭では理解していても、つまらない常識が邪魔をして「作品」を純粋に楽しめない自分に嫌悪感を持つことの方が多い今日この頃です。
今回は「恐怖作品」でした。黒いイリーガル「ヌル」が京子の電脳体を「あっち」に連れ去り、ヤサコとフミエが連れ戻すために奮闘するというのがメインのお話。大人の目線で観ていますと、「何故ヌルは京子(子供?)をあちらに連れて行くのか」とか、「ヌルの目的は?」なんぞということばかりを考えてしまう。楽しみを自分から放棄しているようなものでございます。気を取り直してもう少し単純にこの物語を観ますと・・・。
夜、広い家にいるのは自分と妹、それと自分の友だちの3人だけ。気が付くと妹は意識がなくなっていて家のあちこちには「黒いおばけ」が現れ、自分たちをこの世ではない「あの世」へ連れて行こうとして迫ってくる。おばあさんの「お札」のおかげで安全地帯に逃げ込んだけれど、その効果も「おばけ」の手で次々と破られてしまっている・・・。十分怖い話です。
イサコのせいで扉が開いたことを知らないヤサコたちにとって、訳の分からないうちに「恐怖の一夜」を味わう羽目になっていますので対処が難しい局面ですが、現代っ子(これも死語ですね)は冷静でした。それと京子を取り戻す時のデンスケの活躍は見事でございました。このデンスケというキャラは「電脳コイル」の中では他のキャラクター・デザインから浮いたキャラなのですが、作品の中では全然浮いていません。スタッフの優秀さはこの辺にも現れているのだなと感心いたしました。
前回は全然なかったコメディパートでしたが、今回はフミエとメガバアの絡みでありました。このカットがなかったら本当に怖いだけのエピソードになっていましたので助かりました(笑)次回も「恐怖の一夜編」の続きです。