精霊の守り人『ジグロ・ムサ』『目覚めの季(とき)』

重箱の隅をつつくようなことですが、バルサの「パフォーマンス」という台詞には違和感がありました。以前にも確か「フォーメーション」と言ったことがありまして、その時も同様な感覚がありました。この世界で始終こんな台詞が飛び交っていたのなら別に良いのですが、どう考えてもこれは脚本段階のミスのような気がします。監督や脚本家がそう言わせたかったのならミスとは言いませんが、それはそれでこの「精霊の守り人」という物語の「世界観」とは合わないと思います。こういう些細な部分がとても気になってしまうのも、完成度が高い作品の宿命でしょう。

それはさておき、今回はバルサの守護者だったジグロのお話。
前回チャグムが「運命」に押しつぶされそうになったことを受け、バルサがジグロと自分の過酷な「運命」をチャグムに語って聞かせる。そうした積み重ねの描写が、この作品に重みというか深さを増しているのだと思います。ジグロとバルサとチャグムは背負った運命の重さは違いますが、逃れられなかった事に違いはありません。そこから逃げなかったジグロのことを聞き、初めて三人は一本の線で繋がれた存在になったような気がします。そして運命に立ち向かう決意をしたチャグムを、母のように優しく包み込んだバルサまでの描写が素晴らしいのは映像ならではのものでしょう。

動画はアクションシーンは言うに及ばず、相変わらず手を抜きませんね。残り2週です。