クロムクロ 第二十六話『侍は振り返らず』

フィドルグとの最終決戦に助勢すべく、剣之介はゼルトムエッタと共に地球を離れることを決意。それを知った由希奈も付いていこうとするが、というお話。
お見事!
語り始めた物語はハッピーエンドであろうとバッドエンドであろうとも終わらせなければならないと考えております。しかしこれが簡単のようで難しいことなのは最近のアニメを観ていればよく分かります。
もちろん原作付きの場合、終わってもいない原作をアニメで勝手に終わらせる訳にはいきませんし、そもそも宣材としてのアニメに求められているものは原作に対する購買意欲を刺激することでしょうから、終わり方を意識してなどいないのかもしれません。
そんな風に有耶無耶のうちに最終回を迎える作品の多くは、視聴していた人々の記憶に残ることが出来るのか。
終わりよければすべてよしと申しますが、印象に残るラストがあるから何時までも記憶にのこってくれるのではないか、私はそう考えているのでございます。
オリジナル作品の良さは、製作当初から終わり方を用意することができ、様々なエピソードを効果的に配置することもできることではないでしょうか。ただし、そういった構成力を持ったスタッフの存在が不可欠ではございますが。
由希奈は剣之介と共に旅立つことはできませんでしたが、泣き寝入りするような女の子ではなく。五年の時間はかかりましたが彼の後を追いかけて宇宙へ旅立ちました。
その後が描かれていないので完全な幕引きではないという指摘もあるでしょうけど、あれが「余韻」というものでございまして、その後の物語など各自が妄想すればいい(笑)だけのことであり、その余地を残してくれたことこそスタッフのサービス精神の発露でございましょう。
久しぶりに余韻を感じる事が出来た作品と出会えまして幸せ。続編を!という野暮な声も聞こえてきそうですが、この物語はここで幕を下ろしてこそ素晴らしいのであって、この後の物語は「蛇足」でしかございません。

この笑顔をもう一度見るため由希奈は旅立ち、その願いは多分成就することでしょう。
半年間毎週楽しいロボットアニメを見せてくれたP.A.ワークスと岡村天斎監督、そして全てのスタッフに感謝感謝でございます。