がっこうぐらし! #12『そつぎょう』

ゆきたちが巡ヶ丘学院を卒業したお話。
下校の時間ですと云うゆきの言葉で帰宅して行く「死者」たちの姿に理不尽に「死者」にされた彼らにも記憶の欠片は残っている、ただ倒すだけの敵ではないのだという原作者海法紀光さんのゾンビ映画における「死者」たちに対する答えを見た気分でございました。
そして「死者」になりかかっていた太郎丸がゆきを救ったのも、記憶故ということでございましょうね。彼(?)の最期が孤独ではなかったことだけが救いでございましたね。
諸々考えますとこの作品の主題は「記憶」だったのかもしれません。
学校の記憶、友だちとの記憶、思い出。
こんな異常な状況でも、いえ異常な状況だったからこそ思い出の大切さが浮き彫りになっていたのではないかと。そして普段気にも留めない日常こそ「思い出」を作り出す重要なものであると。
そのために「日常」を消す状況を作っていたのがこの作品の「設定」だったのかもしれませんね。
この学校での思い出は楽しい物ばかりではございませんでしたが、悲しみも苦しみも思い出の大事な一部でございまして、彼女たちはめぐねぇや太郎丸、そして圭ちゃん(ラストのあれは学校へ戻ってきた圭ですよね?)との別れも大切な思い出として記憶に長く留めることになるのでしょう。
この学校での思い出作りはこれ終了。
これからは新しい思い出を作るため新しい友人を探さなければなりませんし、そのために彼女たちは新しい世界へ飛び出して行きました。
その道の先は決して平坦ではございませんが、大切な思い出を胸に乗り切ってくれる。そう予感させてくれた良い幕引きでございました。
衝撃の幕開けから始まった物語ではございましたが、その設定だけに頼ることなく少女たちの成長を丁寧に見せてくれた作品で、スタッフ一同に感謝でございます。
…ラストカットで手紙を拾った女の子が登場したのは2期への伏線でしょうか? 個人的にはそれは蛇足と考えておりますので、ここで永遠に封印してくれた方が「綺麗」だと思いますが、大人の事情もあるしなぁ(笑)