SHIROBAKO 第23話『続・ちゃぶだい返し』

原作者のダメ出しで「三女」最終話は全ボツの危機に。万策尽きたかに見えた木下監督に一筋の光明が、というお話。
泣く、ただ泣く
前回の絶望する彼女から最悪を予想させながら今回のラストシーンで「今わたし、少しだけ夢に近づきました」というセリフがずかちゃんの今と見事にシンクロして、みゃーもりでなくとも泣きますよ。
私ももう初心ではございませんので「泣かそう」とする演出であれば多分興醒めしていたと思うのですが、此処で水島監督が仕掛けたものは「(みゃーもりと)心を一緒に」であって「泣いてくれ」ではなかったかと。
半年間ずかちゃんの努力と苦労を見せられ他視聴者はみゃーもりと同じ目線でずかちゃんを見つめて、だからこの場面で私たちはみゃーもりと同化してずかちゃんを見るように仕向けられていた。
そこであのセリフで仕上げとなりまして、そこで何を感じるのかは視聴者各人の自由としても、親友の願いが叶った瞬間に立ち会えて喜ばないような者はいないはず。
だからあれは視聴者を泣かせるためにみゃーもりが泣いたのではなく、視聴者の総意・代表としてのみゃーもりの涙を見せたってことなのでしょうね。
あの瞬間、みゃーもりと視聴者は一体化していた、と。
またあの場面で二人に会話をさせなかったのも見事な演出でしたし、目配せと表情だけですべてを語らせるといったアニメで一番難しい作業を成功させた作画班の頑張りも見事でございました。
これでずかちゃんの未来が明るいわけではございませんが、兎にも角にもスタートラインには立てましたので、今後は「握力」次第かと。
今回は「監督とは」といった重要なお話が全体を通して語られていたエピソードだったのですが、最後に全部持って行かれてしまいましたね。
でも水島監督の理想像である木下監督の作品全体を見渡す能力があったからこそずかちゃんの起用もあったわけで、これも監督のお仕事の一部であると見せていたとすればまさに「監督回」そのものだったのかもしれません。
次回最終回。