蟲師 続章 第三話『雪の下』

氷の張りかかった湖で妹サチを失った少年トキにとり憑いた蟲のお話。
自分の目の前で妹を死なせてしまったことでトキの心は凍りついてしまい、だからあの蟲は「とり憑いた」というよりも自分たちと同じように冷たい心を持った少年に「寄り添った」と考えた方が正しいのかもしれません。
トキが湖の底に沈んでも死なずに済んだのも、蟲の持つ不思議な力が働いたのでしょうし、それはトキを「同属」と認めていたからでしょうね。
そんな彼の心を温めて溶かしてくれたのはもう一方の同属「人間」であり、少年が妹に感じていたのと同じように相手のことを「想って」くれた少女の心。
二つの種族に守られて少年は妹の死から立ち直る事ができたようでして、これはトキが蟲というものを意識したり何かを願うという「執着」を持たなかった事も関係して蟲と邂逅しても良い結果に繋がったようでございます。
重なりあう世界の住人ではあるけれど、なかなか付き合い方が難しいようですね。…それは同属の世界での住人の間でも同じことか。