宇宙兄弟 #95『俺らの将来』

お互いのことを知るために焚き火を囲んで語り合うCES-62のバックアップクルー。ムッタが日々人のことを語った後、ベティは息子のことを語り始めて、というお話。
傷は消すことは出来ないけれど癒やすことはできる。…言葉の順番を逆にいたしますといつまでも傷から逃れることができないという意味になりますが、この順番ですと前向きになれるから不思議です。
結局物事をどう捉えるかでその後の生き方は大きく変わってしまうのですが、立ち上がって歩き出すことが出来るかどうかは負った傷の深さや大きさにもよるでしょうから一概にどうこう言えない事は承知しております。
ベティの負った傷も彼女一人であれば乗り越えられたのかは謎ですが、彼女にはクリスという夫と育てた「希望」が救ってくれたようでございます。
クリスとて目の前で父親が死んだのですから傷は負ったでしょうけど、子供にとって未来への希求や知的好奇心、両親が打ち込んでいた宇宙への関心が悲しみに勝りいち早く前を向いたってことでしょうかね。
その場所で立ち尽くすだけでは何も始まらない、…いやベティ自身が誰よりも宇宙へ行きたかったから歩き出せたんでしょうけどね。
後半に登場したビンスやピコも「痛み」を抱えながらも宇宙への想いを断ち切れなかった人間ですし、…この作品に登場する連中はムッタを含めて多かれ少なかれ痛みを抱えながら前を向いている人間ばかりか。
その色々な「痛み」のどれかが観ている人間のツボをつく仕掛けなんでしょうね。
「宝物を思い出す、あれはただの道具です」
本当の宝物の意味を知っているビンスの言葉に泣かされました(笑)