宇宙兄弟 #64『一切れのケーキ』

シャロンの病気がALS(筋萎縮性側索硬化症)と認定されたお話。
陽とは生まれ落ちた瞬間から死に向かって歩み続ける宿命を背負っている訳でございまして、だからこそ生きている間に何をしたのかが問題になるのでしょう。
その答え合わせは死ぬ瞬間にしかできませんから、気の遠くなるような時間は答えを見つけるために用意された天の配剤のような気がしております。
シャロンに残された時間は…、S・ホーキンズ博士のように発症してから50年以上存命の方もいらっしゃいますので一概には判断できませんが、あまりないと考えるの妥当でしょうか。
それは彼女の残り時間が少ないという意味に止まりませんで、ムッタが宙に行く猶予も少ないと云う事でございましょう。
無駄にしている時間は全くなく、競争は厳しい。様々な人たちの期待と夢(そして自分の夢も)を背負って走るムッタにとって焦りばかりが先に立つ、その時かつてシャロンに教えられた言葉がムッタに勇気を与えてくれたようです。
”It's a piece of cake”
状況は決して「楽勝」ではございませんが、窮地に陥った時こそやせ我慢が必要。心の中では歯をくいしばっても、表面では飄々と笑顔を見せる。「楽勝」と語ることで前に進む原動力へと転換する。
ムッタとシャロンが同じ言葉を書いていたのを見て
また泣く(笑)
シャロンには人生の全てを賭けて、ムッタには恩人の夢を自分の手で実現するために悲しんでいる時間もございません。この先も二人は「楽勝さ!」と呟きながら前に進んで行くことになるのでしょう、ゲームセットのその時まで。