宇宙兄弟 #63『若き日のドキドキ』

ムッタたちが練習機のマニュアルを3日で覚えなければならなかった頃、日々人はヒューストンにやって来たシャロン再開。その夜ムッタ主催による日々人歓迎会に参加したシャロンを見たせりかは、というお話。
人間の時間は短くて、それは宇宙を相手にしている人たちほど実感するのではないでしょうか。
超人的天才がどんなに頑張っても対象は遠いままであり、一人の人間の人生で出来ること、近づく事の出来る距離は本当に僅かでしかございません。
だから種をまく。
自分の夢を誰かに託すというのは辛い事でしょうけど、気の遠くなるような時間をかけなければその夢を叶えることが出来ない事を知っているから誰かにバトンを繋いでもらうために種をまく。
シャロンの夢はシャロンだけのものでございますが、その夢に魅せられた人を見つけることが出来たなら必ず受け継いでもらえるのではないでしょうか。
できればシャロン存命中にその夢の一部だけでも叶えて頂きたいものでございますが、それは多分ムッタの仕事なんでしょう。
重い荷物は往々にして歩む速度を遅らせてしまう原因になりますが、時には爆発的な推進力にもなります。ムッタにとってもちろん後者でございましょうから此処から先にムッタは今以上に頑張ってくれる事でしょう。
…それにしてもせりかはこの病と二度目の遭遇ですか、最初は愛する父親で二度目は(自分の夢を教えてくれたという意味で)憧れの人とは全く不幸ですねぇ。
彼女が宇宙を目指した理由もこの病気を治療するため無重力下での新薬開発でございましたので、彼女にとっても重い荷物を背負ったようでございます。…皆そうやって歩いているんですけどね。