ガールズ&パンツァー 第11話『激戦です!』第12話(終)『あとには退けない戦いです!』

面白い作品を視聴した後は心地良い脱力感に覆われまして、こういった心地良さを経験したくてアニメを観続けている訳でございます。
第11話『激戦です』
黒森峰女学院との決勝戦、圧倒的な戦力差を前にした大洗女子だったが知恵と勇気と友情で果敢に挑んで行った、というお話。
作戦ネーミングが「もくもく作戦」「パラリラ作戦」といったところに女の子の可愛らしさを表現されておりまして、スタッフがこういった細部にまで気を配っていることが伝わってまいります。
しかし質も量も圧倒的な相手に、大洗の方にもせめて大火力の戦車を一両くらいは配置してくれても考えたのは私だけではないはずです。
そしてマウス登場、どう見ても無理ゲーです(笑) どうするんだこれ。黒森峰進軍のBGMが念願(笑)の「パンツァー・リート」だったところに身震い、…かっこいいなぁ。
第12話『あとには退けない戦いです!』
みほの作戦で有利に運んでいた戦況も「マウス」の登場で一変。犠牲を出しつつもなんとかこれを撃破したが地形の有利さを使う布陣を引く間もなく黒森峰が追い付いて、というお話。
マウスに対して大洗の火力が全く通用しないあの絶望感、それを知恵を使って撃破する爽快感。放送時間にすると数分の出来事でございましたが、このメリハリの見事さが水島努監督の本気というものなのでしょう。
そしてみほのフラッグ車に全てを賭けて囮となって奮戦する各チームの熱いこと熱いこと! 特に壁となって時間稼ぎをしたレオポンチームのポルシェティーガーが、傷つき力尽きる最期の瞬間まで砲塔が動いていた描写に泣きそうになりました、いや本当に。
あそこは無機質な戦車に「個性」と「意志」を見た瞬間でございましたが、考えてみれば他の戦車も皆そういったものを与えられていた訳で、これまで「道具」としてしか見てこなかった自分の不明を恥る。そう、この作品は女の子たちだけではなく武骨な戦車も主役だったのでございます。
みほとまほの姉妹対決の時も、次々と装甲が剥げ落ち遂にはキャタピラが壊れても必死に食らいついた「Ⅳ号D型(最終的にはH型か)」の健気さにもそれが現れております。表彰式の時に大写しにされた傷だらけのあんこうマークの誇らしそうな表情(!)にまた泣く。

この大写しにされた傷だらけのあんこうマークの誇らしそうな表情(!)にまた泣く。
かといってそれだけではございませんで、大洗の女の子たちも立派にキャラが立っておりましたし、…不覚にも桃の泣く場面にもらい泣きしてしまいましたよ(笑)
全話視聴後
約3ヵ月の間隔が空きましたが、このラスト2回を一気に放送するための作戦だったのではないかと疑ったほどでした、…いやスタッフは大変なご苦労をしたのでしょうけど不幸中の幸いと申しましょうか瓢箪から駒と申しましょうか。…喩えが変ですね(笑)
久しぶりに面白い「戦争映画」を観た気分でございます。
戦争映画と申しましても戦争の醜さや人間の愚かしさを前面に出したそれではございませんで、そうですね大昔に大量に制作されたスポーツ感覚の「痛快戦争映画」と称されたあれでございます。
たしかに戦争というものを描けばどうしても人間の負の側面を避けては通れないわけなのですが、一方そこは非日常空間でございまして、どんなことが起こっても不思議ではないのですから昔は無茶な映画がたくさんあったのですが、今や絶滅危惧種なのでございます。
忘れかけていたそうした感覚をこの作品は思い起こさせて下さいまして、一言で言えば「血沸き肉躍る」でございます。
女の子ばかりが登場していながらその「文法」を踏襲し、しかも使用している戦車にまで血を通わせるといった難しい作業をこのスタッフはいとも簡単に成し遂げてくれました。
ミリオタではございませんので細部の描写が正しいのかどうかは分からないのですが、あの戦車戦の描写に手に汗握ったのは極力「嘘を吐かない」ことを目指していた結果でしょうし、素人でもそういった処は伝わってくるのだと思うのでございます。
戦車を使っていながら爽やかな「部活動」として作品を成立させた水島監督以下スタッフ一同に感謝を捧げます。本当に面白い作品をありがとうございました。

青春は何時だって「前へ進め」でございます。合言葉は「パンツァー・フォー!」