ヨルムンガンド PERFECT ORDER #24(完)『恥の世紀』

ヨナがココの元を離れてから2年、「ヨルムンガンド」はまだ発動されていなかったが世界は戦火に覆い尽くされていた。ヨナはキャスパーの元も離れて、というお話。
原作を読んでおりませんので、どう「締め」てくれるのか期待と不安が入り混じったまま最終回を迎えました。ここまで「ありそう」なお話で終始してきたのに、「ヨルムンガンド計画」という「ありえない」お話をどう絡めてくれるのかがその理由でございます。
いやまあ市街地での銃撃のどこが、軍を出し抜く武器商人のお話のどこが「ありそう」なのかとツッコまれそうですが、そこまでは現在の延長線として「起きても不思議ではない」ギリギリのフィクションとして許容できるのですが、「ヨルムンガンド計画」はまだまだ夢の領域でございますからねぇ。
こうきましたか!
はたして計画は成功するのか、それとも失敗に終わるのかはあなたの想像にお任せしますという、作品を壊さないにはこれ以外ない終わり方でございました、上手い。
で、この終わり方を作者が選択したという事は、ここで描きたかったことは「ヨルムンガンド計画」の成否によって変わる世界ではなく、いつまでたっても紛争の火が消えない世界の片隅で、武器を呪い世界を呪い自分自身さえも呪って、それでも生きて行こうとする人間たちそのものなのでしょうね。
ココもヨナも帰属する組織も国もとうに喪失してしまいました。いえ、自分たちからそんな場所を否定したのでございましょう。でも人はひとりきりでどこにも属することなく生きて行く事などはできません。ならば自分の手でその「場所」を作るしかないということでございますし、そのための「ヨルムンガンド計画」だったのでございましょう。
ならば余計に計画の成否を描かなければならないのではないかという疑問も湧くかもしれませんが、問題はそこじゃないのでございます。
ひとりで世界を変えることはできないでしょう。でも同じ目的を持って共に歩いくれる者がいたのなら、計画の成否はともかくとして彼らの「場所」は既にできているのでございます。もう目的は果たされていると言っても構わないかと存じます。
彼らにとって一番欲しかった(であろう)家族はもう手に入れたのですから、この後はその家族を守るために闘うだけ。それで十分ということではないでしょうかね。

全員物騒な格好をしておりますが、素晴らしい家族の集合写真(笑)でのラストシーンに自然と笑みが浮かびました。原作者さんを始めとしてこの作品に携われたスタッフ各位に感謝!でございます。