TARI TARI 第8話『気にしたり 想いっきり駆け出したり』

青春は成就する事よりも挫折する事の方が多い時期でございます。自分自身の努力不足によるものならば諦めもつくかもしれませんが、自身では如何ともし難い理由で道が閉ざされてしまった時、やり場のない気持ちを抱えて苦悩してしまう。それが青春。
そんな時何が救いになるかと云えば友人以外はございません。かと申しましても近すぎて一緒に苦悩されますと共に撃沈してしまいかねず、遠すぎると今度は悩みに対する共感が感じられず救いにもなりはしません。
この距離感が難しい。
和奏の言葉は正論なのだけれど、この状態の紗羽にとっては辛すぎる正論でございます。…正論は時として人を傷つけてしまいますからねぇ。でもこういう時友人が多いと一人くらいは空気の読めない(笑)人がおりまして、本作では来夏がその役割を演じて和奏の正論を中和しておりました。
人の痛みを同じように感じる事なんて誰にもできません。一緒に悲しんだり嘆いたりしてくれる人が傍にいてくれると心地良いかもしれませんが、それでは悲しみから立ち上がることはできません。
来夏のように空気を読まずにエールを送り、共に戦おう(しかも身勝手な理由でw)と誘ってくれる友人のなんと得難いことでしょう。
悲しみだけでは立ち上がることはできません。喜びがこそが次の戦いの原動力になる。だから共に喜んでくれる友人こそが本当の友人でしょうし、それを獲得するのが青春期の最大の任務でございましょう。
そういう過程をツボを押さえて描いているから本作は爽快な青春物語として楽しいのかと存じます。