偽物語 第十一話(終)『つきひフェニックス其ノ肆』

月日を守るため「影縫余弦」「斧乃木余接」と戦う阿良々木くんのお話。
正直な話、今シリーズはどこか散漫な印象を受けておりまして、その原因はメインキャラクターたちが登場していたけれどさして物語に関与していなかったからでございました。
その物語も何を訴えたかったのか前回までよく分かりませんでしたし、「火憐」「月日」という新しいキャラクターのも親近感と申しましょうか、…同調とでも申しましょうか、を感じられなかったのでございます。
…甘かった(笑)
タイトルが「偽」である意味を全く理解していなかったですし、「かれんビー」で貝木が語っていた事も深く考えなかった自分を恥じております(笑)
「ニセモノ」と「ホンモノ」の意味と、その違いに「意味」があるのかといった作者の「問い」が重かったです。
そして作中では「怪異」として描かれておりますから「違う世界の出来事」と考えてしまいそうになりますが、その「怪異」すらも象徴でしかなく、「他者と違うことイコール怪異」と考えれば誰もが抱えているものでしかないのだという事実。
もちろん作中で表現されているものをそのまま受けとめても問題はなく、それはそれで「娯楽小説」として成立しているのですが、そこを深読みさせようとする作者の手腕と、それを画で補強しまくる(笑)シャフトの能力が相まって「何かが隠されている」と探し出したくなっちゃうんですよねぇ。
前回のシリーズも「刀語」も、作者が用意してあった「答え」に行き着いたとは考えておりませんが、まあ作品の中で真宵のように「迷子」になるのも楽しいことでございます。いつかたどり着けるであろうその答えの居場所まで、真宵共々長いお散歩を楽しめるのですから。