ギルティクラウン phase16『王国-the tyrant-』

供奉院アリサを救出するため封鎖された東京に潜入したアルゴが、天王洲第一高校で見たものはヴォイドランク制の頂点にいたシュウの姿だった、というお話。
極限状態の中で人がどれだけ浅ましい行動をとったとしても、それを非難する事は出来ないと考えております。
ですから今回のように「王様」に媚びへつらって生きている者も、虎の威を借る狐よろしく権力を私する者が描かれていたのは、観ていてあまり気持ちのいいものではありませんでしたが、こういった状況に陥った時の人の行動を「見せつける」制作者の意図は理解できました。
「一皮むけば人なんてこんなもの」綺麗事を排除した作品にしたいのでございましょう。
ところがこれが主人公のシュウについては綺麗事で済まそうとしているところにバランスの悪さを感じてしまいました。「皆を救うために悪役を引き受け」たようでございましたが、それは少し格好良過ぎるんじゃあございませんかい?
単純にハレが死んだことへの「恨み」で良かったんじゃあないのかなぁ。そのためには誰であろうと利用するといった「暗い情熱」の方が「動機」としては共感できるのですよ(笑)
もちろんシュウがこの事態の全て(何故パンデミックが発生し、GHQがこんなことをしているのか、など)を理解していたのなら、そしてそれを知った上でも皆を救うと宣言したのでしたら、シュウの行動にも納得出来たのですが、そうじゃありませんでしたからねぇ。
人の醜さを描いたのですから、王の醜さも描いて頂きたかった。