君と僕。 第10話『on your mark』

この作品においての花田先生の役割は「恋」担当のようですね。
恋といっても「伝えたい、この想い!(笑)」といった熱い恋ではなくて、自分の中にある「恋心」に自分で気付くと申しましょうか、やり場のない想いとでも申しましょうか。
人を好きになって胸踊る高揚感と不安感。自分の想いに押し潰されそうになって、それを振り払おうとおどけてみたり。そういうやり取りを妙にドラマチックに仕立てないところが大変好ましい。
一番いいなぁと感じたところは、好きになった人は別に好きな人がいたり、端から恋愛対象に見てくれていなかったりするところでございまして、こういう成就の可能性が薄く細い道に佇む「恋」の描写でございます。
花田先生は「いつかの夏」でも同じ花火を見ながらも想いがすれ違っているといったシーンがあるエピソードを担当なさっておりまして、この作品の一番美味しい回を担当している強運の持ち主でございますねぇ(笑)
メリーの恋が叶う事を願いたいのですが、千鶴の恋も叶えて欲しいなぁ、…両方は無理ですね。