神様のメモ帳 Page.8『僕は運命を信じない』

錬次と四代目の因縁話、その四。
このエピソードに四話使ったという事は、多分これがこの作品の本質なのだと思います。一言でいえば「都会の片隅で懸命に生きる青少年たちの物語」でしょうか。
ですのでアリスの「ニート探偵」というのは、単に「萌え」の記号としてしか意味はなく、実際今回のエピソードでアリスの果たした役割は何か別のもので代替可能なものにしか見えませんでした。
初回を観た段階では、本作は(あまり上手くはないけれど)安楽椅子探偵の変形で、アリスの周りにいる人物たちはホームズにおけるベーカーストリートイレギュラーズなんだろうと思ったのですが、そちらの方向は熱心ではなさそうでございます。
どちらか一方(「探偵もの」と「青春もの」)に特化してお話を作っていた方が視聴者・スタッフ双方の幸せだったと思うのですが、単純な萌え路線を拒絶し不良少年の愛憎入り混じった抗争劇の冠も欲したせいで、バランスとしては大変居心地の悪い結果になってしまったかと。
その愛憎劇にいたしましても底が浅かったように感じられました。最終的に爽やかな結末にしたかったのかもしれませんが、錬次はあのホームで自分の率いていた不良グループの誰かに刺されて死ぬべきだったかと(笑)
そこまで悲惨な終わり方は冗談ですが、愛憎劇を描く時、底なしの悪意というものを描きませんと愛が輝かないと思った次第でございます。