緋弾のアリア 第12弾(終)『ブラド』

理子の相手・ブラドはドラキュラ伯爵だった!というお話。…ナンダカナー。
作品にはそれぞれその作品固有の「世界」というものがございまして、それは何度も書いておりますが創作者の専権事項でございますので、それがどれほど突飛なものであっても問題はございません。
ただ、その「世界」というものは途中で改変・増築していいものではなく、当初読者や視聴者と「契約」したものの中で物語を語るのが創作者の真摯さではないでしょうか。
もちろん本作は当初からこういう路線の作品であったのかもしれませんから、それについては作者に問題があったとは考えてはおりません。おりませんが、であれば尚更当初から「この作品はそういう作品」という説明…、いえせめて「ヒント」くらいは提示して欲しかった。
まあ「超能力」が「アリ」な世界であった辺りで察するべきだったのかもしれませんがね(笑)
「パーツ」といたしましては、これまでも使われた事のあるものでございましたので珍しさはございませんでしたが、今の時代に完全な「オリジナル」を求めるほどおっさんも初心(うぶ)ではございませんので、そこはどうでもいい。
今の時代に必要な能力は、それら古今東西の面白そうなパーツを効果的かつ斬新に組み合わせるアレンジャーとしての能力でございましょうか。
本作は高校生でありながら本物の銃器を扱ったり、ツンデレが登場したり、適度なお色気描写、ヒステリアモードという発想、過去の名探偵の末裔や怪物まで登場、さらに冤罪で(本当なのかどうかは描かれておりませんでしたが)服役中のアリアの母親、ギンジの消えた兄など、大鍋に叩き込んだ「素材」は多かったのですが、それらが上手に溶け合っていないように見えたのが残念でございました。
「絵」としては終始問題ないレベルでございましたので、アニメ化する時に重点的に描くものを絞り込む作業をした方が、アニメ作品としても原作小説に興味を持たせるためにも良かったように考えました。