花咲くいろは 第11話『夜に吼える』

祝・岡田麿里「花いろ」復帰(笑)
…いや、「シリーズ構成」でスタッフに名を連ねておりますから、これまでだって全くノータッチだったとは考えてはおりませんが、久々に彼女自身の脚本で本作を鑑賞出来て幸せでございます。「あの花」のお仕事が終了したってことですね(笑)
今回が復帰初戦でございましたが明らかに「空気」が変わっておりまして、それは今回が作品のターニングポイントだったからというだけでなく、岡田さんの面目躍如な登場人物たちの微妙な心理描写を拾いまくっていたからでしょう。
今回はこれまでポジティヴシンキングで幾多の苦難(?)を乗り越えてきた緒花が、旅館ランキングで喜翠荘を酷評したライターが母親の皐月だったり、孝ちゃんは新しいガールフレンドとイチャイチャしていたりと、色々な意味で最大のピンチに見舞われたお話。
皐月の付けた点数は大人の事情でどうしようもなかった結果でございますが、書いた文章の方は冷静に読めば最大限の配慮の元、現在の喜翠荘の問題点を列挙してあったように聞こえました。たぶんスイには(なんとなく)伝わっていたんじゃないでしょうか。…少なくとも崇子よりは立派なコンサルタントだったかと(笑)
でもそういった大人同士(スイと皐月間の)の意地みたいなものを子供の緒花には通用せず、ここに緒花の未成熟な部分を表すと同時に、子供だからこそ本質をつく、あるいは真っ直ぐな気持ちの清々しさが表現されておりました。
で、その真っ直ぐさが自分に跳ね返っていたのが孝ちゃんとの件でございまして、大人であればもっと上手く立ち回れる処なのでしょうが、抱え込んだ様々な問題一つ一つにキチンとした解答を出そうとする不器用さこそが緒花のキャラであり、それ故悩み苦しんでしまう生き方しか緒花はできない、と。
こういう子は、同時に様々な問題を抱え込んでしまうと立ち往生してしまうわけでございまして、緒花は身動きが取れなくなって雨降る夜の街を疾走。このまま泥沼の展開も面白いのですが(笑)、本作はシリーズとして整合性をとる(あくまで緒花と楽しい仲間たちの物語でございますから)ためにミンチ(と徹)を登場させ、緒花に救いの手を差し伸べてくれました。
シリーズのほぼ中間点で定石通り「主役をどん底に叩き落とし」た訳でございますが、母娘三代の確執も含めましてスタッフ各位の次の一手が見逃せなくなってまいりました。