屍鬼 #21『第腐汰悼と悲屠話』

大虐殺大詰め。
人間の理性ですとか知性と言うものは簡単に麻痺して行くようでございまして、もう女たちも血まみれの死体を何の感情もなく黙々と(そして平然と)処理しておりましたし、「止め」が不十分な「死体」には確実な「死」を与えておりました。
「おきあがり」は「屍鬼」になったが、「人」も「鬼」になってしまったという事でございますね。
沙子を逃がすために静信は家に帰るが、そこにも追手がやって来て、事情を知らない静信の母や寺男を殺してしまう。普通の人間なのにもう容赦がございません。
始めのうち「この絵柄は…」と異議申し立てを書きましたが、こうなりますとこの絵柄で良かった(笑) なまじリアル指向の絵柄でございますと「悲惨さ」ばかりが浮き彫りになってしまい、正視できなかったかもしれませんから。…私、怖いのはダメなんですよ。
さて、
色々あった本作も次回で最終回なので、今回は色々と回収作業が行われておりました。
ではございますが、それに伴いまして色々と「?」の部分も出てまいりました。一番は「なぜ正志郎は佳枝を撃ち殺したのか」でございまして、一晩考えましたが結論に至らず。多分原作を読めばこの辺の疑問は解決するのでしょうが、アニメしか見ていない者には不親切な描写だったかな。
それと、ここへ来て展開が駆け足だなぁ、と。徹と律子の最後が描かれていなかったり、途中で「チラッ」とだけ登場して、実は重要なキャラじゃなかったのかな?と思っておりました「葬儀社」の男や江渕診療所などの最期も台詞だけでございました。
何を描いて何を描かないかという選択は制作者サイドの専権事項でございますし、肝心なことは十分描かれているとは思うのですが、「枝葉」の部分も大事にしていただくか、中途半端な描写になってしまうのでしたら「描かない」といった選択も「アリ」だったのではなかったでしょうか。
振り返りますと前半部をもう少し「サクッ」と流しても良かったような…、でもそうなると作品の緩急がつかなかったのかなぁ。難しいところではございますね。
次回最終回。