迷い猫オーバーラン 第5話『迷い猫、泣いた』

今回のような「ハーレム方向」へあまり針が振れていないこういったお話の方が好物です(笑)
さて、各話監督交代システムの本作。今回の脚本・絵コンテ・監督は福田道生さん。寡聞にして存じ上げないのは、私のアニメスタッフに対する知識が10年くらい前で停止して更新されていないためでございます。
ググってみましたら「ゼロの使い魔」で演出をなさっていた方らしいのですが、その作品も観ておりませんから今回が初邂逅(笑)ということでございます。
印象は良好。本編のお話は前回と違い、初回から3回までの路線を踏襲しているように感じられました。この辺は各話監督の自由裁量に任せているように思える作り方に問題があって、毎度毎度書いている通りシリーズ構成さんの権限が強ければ、こうまでブレ幅が大きくなることもないでしょう。
一方で監督の個性を活かそうとするならば、シリーズの枠組をあまり押し付けないこの作り方は賞賛しても良い訳でして、作品(としての統一性)を取るか監督(の個性)を取るかという挑戦が成功するのかどうかは最終回まで観てからのお楽しみだと思います。
お話としては「バイトに忙しくかまってくれない巧たちに苛立つ千世→働く場所がなくなれば自分と遊んでくれると思い込む→ストレイキャッツを潰そうと画策」と、千世の頭の悪さ全開でございましたが、テンポの良い演出でその辺は気になりませんでした。
むしろ千世の一途さですとか不器用さですとか寂しさが良く現れていて好感。あれもこれもと欲張って描くよりもピンポイントで登場人物ひとりに焦点を当てたことが正解だったと思います。
この手の作品で一番重視しなければならないことは「如何にしてキャラを魅力的に描き、客(視聴者)を惹きつけるか」だと思いますし、多分福田監督にもそういうオーダーが多少はあったと邪推いたしますと、監督はその役目を十分に果たしたと言えるでしょう。
今回はレイアウトや、千世の不安な心が晴れて行く場面での陰影のつけ方が魅力的でしたし、そうした演出に応えるべく作画陣も奮闘しておりましたので、楽しませていただきました。作品の色合いは若干違って見えましたが、これはこれで。
そう考えますと毎回監督が違うというのも悪いところだけではないようでございます。この流れで水島努さんですとか本郷みつるさんなんかが乱入していただけますと嬉しいのですが(笑)流石にそれはないか・・・。