Angel Beats! [EPISODE,01] Departure

ある日、見知らぬ学校の敷地で目覚めた少年・音無(おとなし)は、そこで、ゆりと名乗る少女に声を掛けられる。
彼女は「ここは死後の世界」「自分たちは神に抗い、その神の使い・天使と日夜戦っている」のだと告げながら、構えるライフルの照準を天使に向けていた。
その余りに現実離れした光景と言動が理解できなかった音無は、ゆりの元を離れ、天使と呼ばれる可憐な少女に声を掛ける。
だが、その少女からも「ここは死後の世界」だと訳の分からない説明を受けた音無は、声を荒らげてその証拠を求める。
そして、その少女の手から伸びた光の刃に、胸をひと突きにされてしまう……。(「エンジェルビーツ公式サイト内第1話あらすじより)

本放映から数週間遅れで視聴する最大の問題、と申しますか「敵」は、予備知識が付いてしまうということでございます。本作は今期一番の話題作だったらしいので、多くのサイトでレヴューが書かれておりましたし、各掲示板でも阿鼻叫喚(笑)の書き込みが散見できました。こうなると情報を完全に遮断するなんて不可能なことで、視聴開始した時点では「いや〜な」予感があったのですが・・・。
一番最初に頭に浮かんだ事は「ああ、『ビューティフルドリーマー』に似ているなぁ」という事でございました。・・・石を投げないように願います。
「BD」であたるたちはラムの夢の中で(否定的な意味での)「モラトリアム」を過ごした後で決意して現実に帰るのですが、それはそれを観ていた我々に対して「お前等も現実に戻れ」というO監督のメッセージでもあり、しかし作中のあたるやラムが戻った「現実」も「変わらない日常」という「モラトリアム」でしかなかったという意味に思えまして、O監督の人の悪さに感心した覚えがございます。
で、「死んだ」少年は「生」と「完全な死(成仏か?)」の中間地点で目覚めます。「死んだ」ことを別にすれば(いや、ここを別にしていいものかは不明なのですが)そこは現実と現実の狭間で、そうした意味では「夢の中」と呼んでもかまわないのではないか、と。
どんな無茶をしようとも死にはしない、ある程度の願望は叶う?世界で終わらない「鬼ごっこ」を真剣に楽しむ(?)高校生たちの、「非日常」なのだけれど、今この時は「リアル」な日常・・・、書いていて分からなくなってまいりましたよ(笑)
もっとも「BD」ではそれがどのような場所であっても「帰る場所」はございましたが、本作では「生」という現実には帰れず、さりとて「成仏」して「ミジンコ」になる(あくまでもゆりの勝手な思い込み)という選択もない閉塞した状況なだけに救いがなさそうなのですが。
理不尽に押し付けられた運命に抵抗する若者の物語と見る事も出来そうなのですが、そうなりますと中途半端な「軽さ」が気になってしまいました。
本来の視聴対象者の若い方の好みがこういうものであると言われてしまえばそれまでなのですが、描こうとするテーマが、もし、仮に、上記のようなものならば(公式サイトには「神への復讐、その最前線」とありますから、当たらずといえど遠からずだと思うのですが)、多少深刻な展開になろうとも真正面から向きあった描き方の方が宜しいのでは?と思いましたよ。
記憶の無い少年は本当に人間だったのか?という謎もありますし、面白くなりそうな気もいたしますし、谷底に落ちてしまいそうな気もいたしますし(笑) 初回にして実に微妙な印象でございます。