とある科学の超電磁砲<レールガン>第23話『いま、あなたの目には何が見えてますか?』

 「テレスティーナ」の本名は「テレスティーナ・木原・ライフライン」だった!・・・迂闊といえば迂闊かもしれません。固法先輩が検索して直ぐ出てくる情報であれば初春や黒子が事前に!と考えたのですが、直前まで「良い人」を演じていたのだし(だからこそ美琴はクリスティーナに子供たちを預けたのでしょう)、そこまで疑えとは無理な相談ですね。
 春上が窮地に陥った時、何も出来ない己の無力さに気付き泣きじゃくる初春の当たり前(「自然」でしょうか)の反応と、「泣いているだけしかできないの?自分にしかできないことがあるんじゃない?それをしてから泣きなさい!(意訳)」と気合を入れる黒子の行動。そして初春を叩いた手の「痛さ」をきちんと描いていてくれたスタッフの心配り。実に見事でございました。
 そして今回の白眉は表題の「いま、あなたの目には何が見えてますか?」という佐天の台詞でございました。表面的には当該場面で血気に逸った美琴に向けられてものでしたが、それは同時にこの番組を観ている若い視聴者に向かって「あなたは決してひとりなんかじゃない」ということを、スタッフは伝えたいのだろうと思えたのでございます。
 もちろん表面的な方(「レールガン」という物語として)では、御坂のようになんでも自分の力で解決出来てしまうだけの力を持っていると、つい忘れてしまう事を無能力者の佐天が諭すところに意味があったでしょう。立ち止まり振り返れば掛け替えの無い友人たちがいる。それはこの作中の御坂たちのように能力があるとかないとかとは関係がないという事だと。
 得意なことは人それぞれ、でも友達はそんなことで選ぶ訳ではありません。もし、そんなことを友人を選ぶ場合の基準にするのなら、人はそれを「打算」と呼ぶのですが、この四人にそんな基準はなく(黒子の場合は別の「邪(よこしま)な」思惑がありましたが)純粋に「好きだから」「気が置けない」で結ばれていた事を丁寧に描いておりました。
 だからこそ「レベル5」の美琴に「レベル0」の佐天もハッキリと忠告でき、美琴も素直にそれを受け入れられたのだという、おっさんが感涙した素晴らしいシーンになりえたのだと思いました。
 今回は他に大原・ベアトリーチェ・さやかさんによるテレスティーナのニ面性を見事に表現した演技ですとか、折角の見せ場だったのにそのシーンが丸ごと割愛されてしまった「婚后光子」の本シリーズでの不憫さ(笑)など、色々見せ場も多くとても楽しめたエピソードでございました。
 やるべき事がハッキリした今、彼女たちは走り出しました。さて、どんな結末が待ち受けているのかがとても楽しみでございます。