おおかみかくし 第8話『錯綜』

 博士が「嫦娥狼」に異変をもたらす引き金としての「密」であることや、その嫦娥狼たちも一枚岩ではないこと、賢木が復讐のために眠と対立する勢力のスパイになっている事などが分かった回。
 「血(宿命)」の前では抗うことも許されず、けれどこれ以上血を流すことに躊躇いを持つ眠の葛藤の描写が絵で表現されていたことには好感が持てましたが、もう少し深く描かれていたならば、と思は無いでもございませんでした。
 スリラーに致しましてもホラーに致しましても、そこをどれくらい描けるかで単なる見世物と物語(作品か?・・・え〜と、いつものことですが良い言葉が出てきません)の境界があると思うのでございます。
 一応この作品では博士が主人公ということになっておりますが、真の主人公は眠の方で、一般人の博士が巻き込まれた事件を通して悲しい宿命に翻弄される眠を描くのが主ではないかと考えておりますから、であれば博士の役割は重要かと。
 今回のようにベッドの上で悶々としておりますと、その役割が果たせるのかどうか心配になってまいりました。
 それと賢木が復讐のために次第に常軌を逸しておりましたが、この辺の描き方も急ではないかと。もう少しだけでも変質して行く過程が描かれておりますと怖さも増したような気がいたしました。